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2007年5月26日 (土)

建設業のコンプライアンスに関する調査結果

先日、公正取引委員会の調査によりまして、建設業のコンプライアンスに関する調査結果が公開されております。
報告書はこちらより入手可能です(PDF形式)
(プレスリリースはこちらです。)

調査は1,700社の建設会社を対象として、昨年の9月に調査を行い、1,000社以上の建設会社からの回答を得ています。

色々興味深い示唆が得られていますが、「規模の大小に関わらず、コンプライアンスの徹底に関する教育が重要(特に経営層に対する意識改革?)」、「発注者と事業者との間での認識に大きなギャップがある」、「業界全体での対策が重要」というあたりが指摘できるかと思います。

その他にも、法令違反をした企業が公正取引委員会の調査前に情報を提供することで、課徴金が免除される制度についても回答を得ています。
資本金5億円以上の企業については、2~3割が制度の利用を検討しているという一方、なんと全体の半数近くの企業が「これから勉強」という状況ということです。
個人的には「こんな大事な動きがスタートしたにも関わらずか…」という印象ですが、この数字の大小については、皆さまの解釈に委ねたいと思います。

今回の結果を受けて、例えば建設業界の談合を防ぐには、どこに集中的に対策を打てばよいのか?という議論も進んで欲しいものです。
単なる従業員教育でよいのか?それとも、業界団体と業界外部からの第三者の参加も含めた、経営層の相互監視システムまで検討すべきなのか?

ただ、事務総長の会見でも述べられておりますが、「業界全体の問題だ」と言い切ってしまうことで、個別の企業での自浄作用が働かないようでは本末転倒です。

これからの業界ならびに個別の建設会社の動きには注目しなければなりませんね。

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2007年5月14日 (月)

(株)デンソーのステイクホルダーダイアログ

(株)デンソーさんにおいても、ステイクホルダーとの定期的な対話を継続して実施しています。
僕は昨年度と、当時学生だった2003年度の2回、参加させていただくことができました。

大和ハウス工業(株)さんと同じく、多様なステイクホルダーの参加や、社内横断的な対応状況は特筆すべき点ですが、さらに追加しておもしろい点がいくつかあります。

(1)工場見学を必ず織り込み、実際の現場を見ながら感じたことを通じて、さらに議論の活発化や実践的な意見の抽出が可能となる。実際に現場のライン管理者の方などにお話を直接伺うこともできる。参加側としては実際の企業の現場を見学することとなり、非常に興味深い。と言うか、楽しい(笑)

(2)参加人数を絞った上で、泊りがけで2日間にかけて、取り組み内容をあますところなく見せ付けてもらえる。しかも参加にあたっての旅費・宿泊費は負担していただけるため、遠方からでも気軽に参加することができる。

(3)ディスカッションの時間をしっかりとっていただける上、テーマ別に分かれて数名ずつの担当者との直接の質疑応答ができる。2日間も顔を合わせていると、さすがに色々と話す側も容赦がなくなってくるので、対応される側は大変でしょうが。。。

(4)環境やCSRなどのテーマ以外に「人づくり」という、モノづくり産業の基本の部分をじっくりと解説していただき、日本の産業の強みをまざまざと感じさせてくれる。つまり、企業経営に直接関わる部分も扱い、単に環境や社会貢献にしか関心の無かった人に、別の視点も気付かせてくれる。

(5)ファシリテータ(IIHOEの川北氏)がしっかりと全体の意見をまとめて、きっちりと両者の意見を吸い上げて整理されている。

ディスカッションの時間が多くなれば、普段は言うのもはばかれるようなことや、当初は考えていなかったことにまで思考が及ぶこともあり、さらに対話が加速することになります。
そのためか、特に昨年度のダイアログに参加させていただいて「すごいなあ」と思ったことですが、非常に長い時間のディスカッションがあるにも関わらず、議論が全く途切れないんです。

また、(株)デンソーさん自身も、このステイクホルダーとの対話の機会を非常に重視しており、その後の取り組みに着実に展開されていると言う点もやはり重視しなければならないと思います。
ファシリテータの川北さんも仰っていましたが、(株)デンソーさんは毎年変化が目に見えて分かるということです。

ステイクホルダーとの対話によって課題を抽出し、社内で優先度を見ながら対策を検討した上でできることから実践していき、またその成果をさまざまなステイクホルダーに報告し、再度意見をいただく。
こうした戦略的なコミュニケーションの実践こそが、本来のステイクホルダーとの対話のあるべき姿なのではないでしょうか。

2007年5月 9日 (水)

信越化学工業が公表したヒヤリハット

5月1日の信越化学工業さんのHPに「ヒヤリハット事例の公表について」というプレスリリースが掲載されました。

3月に発生した新潟での爆発火災事故を踏まえて、現場における安全対策の一貫として、事故につながる要因の抽出を全社的に実施されたということです。

「ヒヤリハット」という言葉は、あまり耳慣れない方もいるかと思いますが、文字通り「ヒヤリ」としたことや「ハッ」としたりすることを指します。
つまり、「事故を起こすのではないか」、あるいは「危うく事故になるところだった」というような状況のことで、車を運転するときなどに、私たちもよく経験していると思います。

通常、こうした「ヒヤリハット」情報の収集は、危険な作業が多い現場や病院のような人命に直結する現場においては積極的に実施されているようです。
つまり、効果的なリスクマネジメントの実践にはやはり欠かすことはできない情報だと考えられます。

その一方、どのように生かすか、あるいは情報として水平展開を図るか、という点では、それぞれの組織に委ねられているのが現状です。
ただ、今回の事例はこうした社内情報を「開示」したところに意義があると思います。

ともすれば、社内の弱点を世の中にさらすことになるかもしれない一方、こういう取り組みを進めて事故の芽を摘んでいくことで、結果的に対策を取るという宣言を社会に約束することになります。
同時に、社会的・客観的な視点から関心を持つステイクホルダーにより、また別の視点からの対策案やヒヤリハットに対する疑問なども寄せられることでしょう。

結果として、社会に対して透明な形での現場での安全対策を進めることとなり、将来的には安全のみならず、環境や社会貢献、CSRや事業継続計画などについても展開することができるかもしれません。

こうした事例ががこれからも増えてくるかどうかは分かりませんが、注目すべき動きではないでしょうか。

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2007年5月 7日 (月)

大和ハウス工業(株)の目指す「共創共生」

今回は大和ハウス工業(株)さんの事例を紹介させていただきます。
実は昨年度だけではなく、3年前(CSRレポート2005に掲載)にも一度参加したことがあり、今年が2回目の参加でした。

大和ハウス工業(株)さんのステイクホルダーミーティングの特長を僕なりに紹介させていただくと、以下のようなものが挙げられます。

(1)社内から非常に多数の方々が参加されており、議論の輪にも自由に加わりながらお話をしていただける。同時に、さまざまなバックグラウンドを持った多様なステイクホルダーが参加しており、参加者間のディスカッションがとても活発。

(2)参加者に対するフィードバックがしっかりしており、当日回答しきれなかった質問等に対しては、後日、確実に回答がなされる。その上で、CSRや環境の担当部署だけではなく、研究所や事業部からもコメントが返ってくるため、社内での共有化が図られていることも伝わってくるし、全社的な対応であることが伺える。

(3)参加者が全ての意見を出しきれるくらいにたっぷりと討議の時間を設けてくれる。他の企業では、十分な意見を出しきれないまま終了してしまうことも多い。

(4)企業として、どこに向かおうとしているかという点を「共創共生」という基本姿勢として、非常に明確に示している。

(5)CSRレポートにおいても、かなりのスペースを割いて、この取り組みを掲載してもらえる。その中には、(2)で示したような質問等に対しての回答もあわせて掲載されており、当日参加できなかった方々への情報提供にも積極的である。(なかなかここまでページを使ってくれる企業さんも少ないかと思います。)

このうち、特に(4)に関しては、毎年発行されているCSRレポートでも明確です。
社会における防犯や防災などの問題を明確に示した上で、「我々の会社はここまで対応をやりますよ。ただ、これだけで十分ではありません。社会の皆さまにも考えてもらいたいし、私たちと一緒に取り組みをしませんか?」というメッセージが非常に伝わってきます。

もちろん、実際に社内の取り組みにおいては、まだこれからの点や不十分な点があることも否めません。
しかし、そのあたりも(2)でしっかりと認識されており、来年度以降のレポートにも反映されているのではないかと期待を持てます。

そしてこうした着実な取り組みこそ、大和ハウス工業(株)さんの目指す「共創共生」という姿に一歩ずつ近づいていくことになるのだと思います。

※一昨年度の様子はこちらです。

2007年5月 2日 (水)

ステイクホルダーミーティングの実践 ~ 社会と共に

昨今、環境のみならずCSR(企業の社会的責任)まで取り組みが拡大していることによって、企業などの組織にとっては社会とのより一層のコミュニケーションが望まれています。

僕の個人的な見解ではありますが、CSRの取り組みは「ステイクホルダーマネジメント」であると思っています。
具体的には、社会に存在する多様なステイクホルダーに対して、どのように企業活動を通じて働きかけながら共存・共生をしていくか、ということが重要であると思うからです。

伊藤真さんの書かれた「会社コンプライアンス」という新書の中でも、非常に分かりやすい表現として「他者への共感」という表現で示されています。
やはり会社だけが成立・繁栄すればよいということではなく、社会の一員として、さまざまな声を適格に吸い上げながら事業活動を行わねば、今後の発展どころか存続もない、という意味です。

そうした中、「ステイクホルダーミーティング」という方法で、社会との対話を継続的に実施している企業があります。
いわゆる「リスクコミュニケーション」の1つですが、「社会の問題意識の抽出・共有」と「社会が関心を持つ問題を介した対話」の場です。

僕もこれまでにいくつかの企業さんのステイクホルダーミーティングに実際に参加していますが、今後、その企業さんの事例を少しずつですが紹介させていただこうと思います。

どうぞお楽しみに!

会社コンプライアンス―内部統制の条件 会社コンプライアンス―内部統制の条件

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2007年5月 1日 (火)

持続可能社会の実現に向けた滋賀シナリオ

グローバルレベルではなく、ローカルレベルでの「持続可能な社会」へ向けた取り組みを考えるためのシナリオが発表されました。

これは、滋賀県琵琶湖・環境科学研究センターが立命館大学や京都大学の先生方とまとめられた報告書で、「持続可能社会の実現に向けた滋賀シナリオ」としてセンターのWebサイトにて発表されています。

温暖化対策などの3つの問題に対して、事業者や生活者など、それぞれの主体ごとに2030年までの目標を定めたシナリオを策定するという試みとなっています。
なかなか細かい目標まで決められていて、非常に興味深いです。

これらの目標が、日本のさまざまな地域ごとに挙がってくるというのは大変よい状況であると思いますが、1つだけ気になることがあります。

それは、日本あるいは世界レベルで見て、これらの目標が個別に達成可能で、その結果として本当に持続可能な状態になっているのかどうか、という点です。
例えば、地域行政や近畿圏、日本全体などの社会システムで見たときに無理がないか、地域内での資源やストックの取り合いになっていないか、どこかの特定地域にしわ寄せがいっていないか、といった視点からの大局的な分析も将来的には必要な気がします。

昨今、多くの企業さんでBCP(事業継続計画)というものを個別に立てられています。
これは、地震や台風などの自然災害のみならず、何らかの要因によって、事業の継続性が損なわれる危険性がある際の手順をまとめたものです。
個別では緊急時対応や復旧時の対策について、本当に綿密な計画を立てている一方で、実際に大規模な広域災害などが起こってしまった場合に、地域におけるリソース(水、食糧、宿泊施設など)が不足してしまうという問題も指摘されています。
地域とのコミュニケーションを通じた役割分担などが重要であるという所以でもあります。

これらと同じことにならないよう、もっと高所からのシナリオ作成が求められているように感じます。
そしてそれは、もちろんのことながら、「日本」という国に住む全員で共有し、実現へ向けた取り組みを進める羅針盤でなければならないでしょう。

現在、環境省で進んでいる超長期ビジョンの策定においては、こうした点をしっかり踏まえてほしいものです。
そして、間違ってもカナダのように「京都議定書の目標達成を断念!」などという不名誉な記事で新聞の見出しを飾らないことを祈るばかりです。

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